12人の現代建築家がデザインした12のカップ&ソーサー


2009年に発表され、いまもセレクトショップで取り扱われるロングセラーを紹介します。

青木淳 Jun AOKI「ソーサーの中央がくぼんで、ソーサーがカップを下から包む。 暖かさを逃がさないように、掌で包んでいるように」


磯崎新 Arata ISOZAKI「二つに分かれているけれど、カップがソーサーでソーサーがカップです」



伊東豊雄 Toyo ITO「把手の代わりとなる3つの自然な膨らみは、ゆっくりと移ろう雲を時にイメージさせ、それは単に過去の伝統に戻るのではなく、新しい豊かさや暖かさを追求した結果である」



隈研吾 Kengo KUMA「カップの底の曲面は、ソーサー部にえぐられたくぼみの曲面と完全に一致している。ぴったりはまらない限りはカップは立たない。にもかかわらず、カップとソーサーは美学的には完全に自立していて、それぞれを単独に見ても欠けた部分がなく、美しい」


妹島和世 Kazuyo SEJIMA「大きめのソーサーは、砂糖、ミルクの他にケーキや果物なども載せられ、プレートのように使えるようになっている。小さめのカップは片手で楽に持て、ソーサーの上に載せると余白をつくる。置かれるものによって毎回違うレイアウト」


高松伸 ShinTAKAMATSU「祖形に最小限の作為を加えることによって成立する器の形を求めた。シリンダーに楕円の穴を穿つという案が生まれた。多少の問題は覚悟で、最終的にこのアイデアを採った。焼きものは、偶発性や非合理に満ち満ちている。そのことを思い知らされるに至った」


竹山聖 Sei TAKEYAMA「古代ケルト語にはenjoyやloveを意味するWinという言葉がある。このCup & SaucerにWinという名前をつけてみた。求めあう心の形のような気がしたから。ふたつだとWin-Winで、だからlove-loveそしてenjoy-enjoyということになる。Cup & Saucerが恋をしてもいいと思ったからだ」


團紀彦 Norihiko DAN「最も良く有るタイプのカップの取っ手(つまみ)は、ほとんどが左右対称であることに気付く。私のデザインは、この"つまみ"の非対称性に注目して、徹底してカップの対称性を崩していこうとするものだ」


長谷川逸子 Itsuko HASEGAWA「コーヒーをいただく時は香りもいただいているのにコーヒーカップはなぜ蓋が付かないのかと、いつも思っていました。蓋付きの茶碗と決めて模型を粘土で作っていたら、歪みながら、何やら果物や鳥のような形になりました」


坂茂 Shigeru BAN「使用後は置く場所に困るクリームの入った容器とスプーンと角砂糖をしまえるソーサーのデザインをした」


葉祥栄 Shoei YOH「断熱しない限り、把手は必要だし、こぼしても構わない受け皿が必要だと考えた結果、パイプ状のホルダーが生まれることになった」


六角鬼丈 Kijo ROKKAKU「このカップのデザインイメージはタマゴの片割れです。器の一部を凹ませて、把手とカップは一体化されています」